ワーキングホリデー制度を利用する人のなかには
「むこうで英語を覚えて、帰国したら英語を使う仕事をするぞ!」
という希望をもって出国する人も少なくありません。
が、いざ帰国する段になると
「ああ、思ったより英語力つかなかったなあ」
となる人も多いのではないでしょうか?
実は私もそうでした。
私の場合はワーキングホリデーでオーストラリアにいったのが、今から約約25年前の1994年ですから、今の人たちとは随分違うとは思いますが、それでも今のワーホリ経験者達に話を聞いても「思ったより英語力つかなかった」という人が多いように思います。
かと言って、ワーホリや留学の経験が、実質「つたない英語で1年間生活してきただけ」では、企業からしたら「ただのブランク(空白期間)」でしかありませんから、就職(転職)では確実に不利になってしまいます。
ではワーホリや留学で経験者で、英語力がソコソコの人たちが帰国後に再就職するにはどうすれば良いのでしょうか?
実は筆者は現在、インターネット広告事業の会社で人事にも携わっており、ワーホリ経験者の気持ちも、企業の人事の思惑も、両方理解できる立場にあります。
ですから今回は「ワーホリ経験者の人事担当」という立場から、ワーホリ・留学経験者の帰国後の再就職のコツをご紹介させていただければと思います。
「英語力をつけたかった」だけでは通用しない
企業に「なぜワーキングホリデーで海外にいこうと思ったのですか?」と質問された場合、「英語力をつけたかったからです。」という回答では通用しないと思ってください。
というのも、今の時代、1時間数百円で利用できるインターネットのオンライン英会話もありますから、英語力をつけたいだけなら、ワーキングホリデーでわざわざ海外に行かずとも、その気になれば日本国内でも十分に英会話力をつけることができるからです。
ワーホリ経験者の私から言わせてもられば、海外で1年間生活するより、日本で部屋に閉じこもり、朝から晩まで参考書とオンライン英会話で勉強したほうが間違いなく英語力はつくでしょう。
これはワーホリ経験者の皆さんなら賛同していただけると思います。
当然企業もこのぐらいのことは承知していますから、「英語力をつけたかったという理由だけでわざわざ海外に行ったのか、、発想力のない人だな」と思われるだけです。
それどころか、そこそこの規模の企業なら、過去にもワーホリ経験のある応募者を相手にしたことはあるでしょうから、同じような回答をしていては「またこのタイプか…」と、興味すら持ってもらえません。
ですから、ワーキングホリデーで海外にいった理由を聞かれたなら、英語力向上はあくまで+αで、それ以外の理由を用意するようにしてください。
それこそバカの一つ覚えのように「英語力の向上」と答えるぐらいなら、
「子供のころに本でみたオーストラリアの大自然にずっと憧れていて、いつかは絶対に行きたいと思っていた」
というような素直で純粋な答えのほうが、よほど面接官の印象は良いでしょう。
企業が人材に望むのものは英語力ではない!
そもそもワーキングホリデーだけで驚くほどの英語力はつかないと思いますが、、。
私の場合だと、中学、高校と典型的なバカ不良で、「海外に住めば英語が話せるようになる」という都市伝説を信じて、事前に全く英語の勉強をすることなく、それこそ「about」の意味さえ分からない状態でオーストラリアに行きました。
そうして渡豪三日目で「これは勉強しないと住んだだけでは英語なんて1mmも話せるようにならない」と気づき、それから帰国までの1年間、そこそこ真面目に英語の勉強をして、現地の人と話す努力もしましたが、それでも帰国直後に受けたTOEICでは、やっとこ730点でした。
ただ、もともと英語が得意だった人をのぞけば、ほとんどのワーキングホリデー経験者の英語レベルはこの程度ではないでしょうか?
730点というスコアは決して低くはありませんが、通訳や翻訳ができるレベルかと言えば全然お話になりませんし、英語バキバキの外資系でも全く通用しないレベルです。
ただ、勘違いしてほしくないのは、企業が人材に求めるものは英語力ではないということです。
英語力だけならネイティブと変わらない英語力の人など日本国内にゴマンといます。
しかしその人がたち就職、転職に苦労していないかと言えば決してそんなことはありません。
(※その昔東京立川市でケンカ最強と恐れられていたどうしようもない極ワルでさえ父親が黒人で英語はペラペラでしたから…)
企業にとって最も大切なのは「その英語力を使って何をやってくれるか?」です。
言ってしまえば、日本語で仕事ができない人が、多少英語が話せたところで役に立つはずがないのです。
ですからワーホリで多少の英語力を身に付けたからといって、それを転職のアピール材料にしようと考えること自体が的外れなのです。
むしろ、ワーホリ経験でアピールすべきは英語力ではなく、もっとパーソナルな部分です。
海外に行こうと思った動機や、むこうで体験した様々なエピソードを、あなたの「行動力」「向上心」「探究心」「外交力」「完遂力」といったことに関連付けて伝えることができれば企業にも興味をもってもらいやすくなります。
「ワーキングホリデーで一番の思い出はなんですか?」と聞かれたら
ワーキングホリデー経験者の場合、面接で「ワーキングホリデーで一番の思い出はなんですか?」と聞かれることがあります。
これは決して世間話をしようとしているわけではありません。
面接官の質問には全て意図があります。
この質問をされたら、あなたの人間的な魅力を探っていると思ってください。
ですから、ここで「特にありません」と答えてしまっては、「ワーホリ期間=ブランク(空白期間)=遊び好きの仕事嫌いの人」と判断されて不採用決定です。
かといって先ほどもお伝えしたように「英語力が向上したことです」だけではインパクトが薄く面接官に興味を持ってもらえません。
この場合は、あなたのパーソナルな魅力が伝わるようなエピソードを予め用意しておくと良いでしょう。
「どうしてもやりたいことがあり、それを達成した話」
「ピンチに陥ったが機転を利かせて切り抜けた話」
「毎日を全力で生きる大切さを噛み締めた話」
など、ぶっちゃけて言ってしまうと、多少話を盛ってしまっても構いませんから、面接官に「へー、そんなことが!」と言ってもらえるようなエピソードを予め用意するようにしてください。
英語力が身いついたことも証明する
ここまで「英語力向上以外のワーホリの意義を企業に示すのが大切」といった趣旨のことを解説してきました。
しかし事実としてワーホリで並以上の英語力が身についたのであれば、それは目に見える形で証明できるに越したことはありません。
並以上の英語力というと、大体TOEICで650点以上になると思いますが、「そのぐらいのスコアなら取得できる」という人ならTOEICは受けておいて損はありません。
もちろん650点程度の英語力では本格的に英語を使う仕事は到底無理ですが、転職においてはTOEIC650点というのはメリットはあると思います。
※以下は私も読んで「なるほどな」と思った記事です。TOEICを受けるメリットが良く分かる記事ですから是非一読してみてください。
参考記事:英語力やTOEICはやっぱり転職に有利らしい。中小企業社長が語る本音
ワーキングホリデーをプラス材料にする方法に迷ったら
ここまで紹介してきたように、ワーホリや留学経験は、伝え方次第で、あなたの魅力を伝える材料にもなり得ますし、単なるブランク(空白期間)にもなり得ます。
自分のワーホリ経験をどうプラス材料にするか迷ったなら、一度「転職エージェント」に相談してみることをおすすめします。
転職エージェントはワーホリ経験者の転職を数多く成功させていますから、ワーホリ経験をプラス材料にするコツも知り尽くしています。
おすすめは「リクルートエージェント」です。
リクルートエージェントに登録すると、専任のキャリアアドバイザーに、あなたのこれまでのキャリアを事細かく聞かれますから、その際、小さなことでも構いませんから、ワーホリで経験したエピソードの数々を話してみてください。
リクルートエージェントのキャリアアドバイザーなら、あなたから聞いたエピソードを元に、ワーホリ経験をプラス材料にする “作戦” を提案してくれるはずです。
実際、私もインターネット広告事業企業の人事に携わっている関係で、普段からいろいろな転職エージェントから紹介された人材を見ていますが、リクルートエージェントから紹介された人材には「上手いこと答えるなぁ」と関心させられることも少なくありません。
応募者本人が一人で考えた内容とはとても思えませんから、リクルートエージェントのキャリアアドバイザーのアドバイスが生きているのだと思います。
他のワーホリ経験者と差をつけるなら、やはりリクルートエージェントが良いと思います。
転職エージェントは仕事の紹介、履歴書・職務経歴書などの書類の作成、面接模擬など、転職に関する全てのサポートを無料でおこなってくれますから、一人での転職活動に行き詰っているなら一度利用を検討しても良いと思いますよ。
まとめ
「ワーキングホリデー経験のある人事」として記事を書かせていただきましたがいかがでしたでしょうか?
繰り返しになりますが、ワーホリ経験者が一番アピールしなければならないのは英語力ではありません。
日本語で仕事ができない人が、英語がちょっとできたぐらいで仕事ができるようになるわけがないのです。
ワーホリ経験を転職市場でプラス材料にするには、その経験を通じて、あなたの人間的な魅力、パーソナルな部分をアピールするようにしてください。
それプラスα並以上の英語力があることが証明できれば、企業は必ずあなたに興味をもってくれますよ。